対話で学ぶ経営改善へのABC 2― その1 ―
前回まで「博多弁常務奮闘記」で情報技術の導入に奮闘した老舗菓子製造販売会社の博多弁常務。この度、経営企画室の発足と同時に担当専務に昇格されました。おなじみの部長はその企画力が高く評価され、同室長に任命されました。これから2人そろって新たな経営革新への挑戦が始まるようです。
【最近は先がよう読めんったい】~シナリオ・プランニングによる戦略策定
コンサル 営業担当常務より専務に昇格されたそうで、おめでとうございます。
専務 ああ、有難う。(元)部長はこれから経営企画室長たい。いろいろ加勢しちゃり、頼むたい。
コンサル こちらこそ、どうぞよろしくお願い致します。
室長 参謀の大任を受けました。これからもよろしくお願いします。早速なのですが、実は最近、売上目標を達成出来ないことが多くなってきたんです。特に、伝統のある定番商品が思うように売れなくなっているのに頭を悩ませているのです。
専務 そうたい、これまで以上に営業部隊に発破ば、かけとるけど、なかなか効果が上がらん。最近は先がよう読めんったい。一体どうしたら、いいちゃろか?
コンサル いきなりですが「茹で蛙」の話をご存知ですか?
専務 何ね、そりゃ?
コンサル 沸騰している鍋の中に落ちた蛙は、熱いと驚いて直ぐに跳び出すことが出来ます。しかし、水の入った鍋の中にいた蛙は、ゆっくりと鍋の水を温めると、跳び出すタイミングをつかめずに最後は茹で上がってしまうという話です。企業も同じで、ゆっくりとした環境変化を察知できずに打つべき手を打たないと、思う様に業績が上がらなくなってしまいます。
専務 はっはー、環境の変化に気を配れっちゅうこつやな。確かに何でも今まで通りじゃいかんのかも知れん。
室長 しかし、今の世の中、変化が複雑で何がどう変化するかも予測できません。一体どのように対策を立てればいいのでしょうか?
専務 そうたい、そうたい。
コンサル そのような不確実性への対応として「シナリオ・プランニング」という戦略策定手法があります。
専務 「しなりお・ぷらんにんぐ?」
コンサル はい、従来の手法ではひとつの事業環境を想定して戦略を策定していましたが、シナリオ・プランニングでは、将来起こりえる複数の事業環境のシナリオ(筋書き)を予測します。そして、それらひとつひとつに対応する戦略を考えます。
専務 なんか難しそうやけど、面白そうやなぁ。
コンサル はい、確かに将来の事業環境を予測することは難しいことです。しかし、少子高齢化や嗜好の変化などのお客様の変化、競合他社の動向などの因果関係や相互作用、不確実要因などを検討することで、不確実性に対する理解を深め、どううまく利用できるかを考える手法がこのシナリオ・プランニングです。
専務 ほっほー、「備えあれば憂い無し」ちゅうことか。
コンサル はい、その通りです。どのシナリオでも共通して直ぐに実施する戦略、いずれかのシナリオが起こった時に実施する戦略を予め整理しておきます。そして、事業環境の変化に対して迅速に行動を取れることが重要になります。
専務 そうたい、これからは周りの変化に敏感になって、変化ばチャンスにして動いていかなたい。その為には、先ばよう考えて戦略ちゅうのをうまく立てんと、いかんばいね~。
コンサル はい。更に、始めにおっしゃった定番商品の売上鈍化の対策も、これまで定番商品を買って下さっていたお客様に「どんな変化が起きているのか」、そして「これからどんな変化が起こるのか」のシナリオから考え始めなければなりません。
専務 う~ん、なるほど。
室長 早速、シナリオ・プランニングで我社の戦略を練り直しましょう、専務。
専務 そやな、うちも「茹で蛙」にならんようにせないかん。でも、湯船で一杯というのも気持ちいいんやけどなぁ。はっはっはー(一同笑)。
さあ、博多弁専務と室長はシナリオ・プランニングの手法を使って企業戦略を立てる気になったようです。でもこれからが大変。言うまでもなく、戦略をいかに実現していくか、そこが一番難しいからです。次号からは戦略を実行に移すためのいくつかの経営手法を取り上げていきたいと思います。









