Asahi Business Consulting|朝日ビジネスコンサルティング

朝日ビジネスコンサルティング 福岡・九州を中心にサービスを提供するコンサルティング会社です

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第1話 「会社の現状と危機意識」

ケース1.~(株)○○菓子本舗の場合

 わが社は、せんべいを製造・販売しているメーカーである。創業は80年を超え、いわゆる老舗メーカーとして認知されている。製造拠点として工場を2カ所。販売拠点としては、直営店舗として22店舗を構え、昨今の通信販売ブームに対してコールセンター、物流センターを構え販売チャネルも強化した。
 そんなわが社に大きな転換期が訪れた。融資を受けていた金融機関から経営強化が必要であり、事業計画を再度見直すことが今後の融資継続の条件との方針が出されたのだ。わが社自身に変化がなく、外部環境だけが変化していった結果、売り上げは下降気味であり、コストは増加傾向という誰の目にも明らかな経営機能の不全が見て取れたのだ。ここ数年の景気低迷、消費者し好の変化などの流れに追いつけず、商品戦略からオペレーション、組織などで変革や改革を行ってこなかった。いや、実際には変革の必要性を感じながら、結果として変革できずにいるというのが正しいのかもしれない。
 じわじわと利益率が下がり始めてからこれまで、変革を行おうと業務改革を行ってきたつもりである。製造原価削減に対する取り組み、各種コスト削減に関する取り組み、販売戦略に関する取り組みなど、経営陣としては、必要だと感じた改善点に対して手を打ってきたつもりでいたが結果は現れない。社内の雰囲気も、この売り上げ、利益と同様に沈滞ムードが続いている。多くの施策を打つがそのことが結果として現れない。変革への取り組みと称して取り組んでいることが継続的に続かない…。
 これまでの現状、その結果としての財務数値、そして金融機関からの要請…。今を除いて他に大きく社内の変革・改革を行うチャンスはない。そう考えた社長の宮下は、取締役2人と不退転の決意で、この1年間を変革の年にすることにした。といって、これまでの取り組み内容とその結果については、満足できるものではない。しかしながら、具体的な施策や方法論が思いついているわけでもない。そこで、金融機関にも相談をした。この危機を乗り越えるために共にスクラムを組める人物の手を借りたいと…。
 ここで紹介を受けたのが、コンサルタントの山川である。山川と宮下、それから取締役を含めた4人は初顔合わせの場面で共通の認識を持った。これまでのような結果の出ない改革を行うつもりがないこと、痛みがあったとしても、今回の改革は最後までやり遂げること、それから現状の認識から改革の方向性、改革のプロセスなど、現場のリーダークラスの従業員に対して、すべての情報を公開し、共に最後まで戦う意識を持ってもらうこと。これらの共通認識を持った上で、今後の改革に取り組むことになったのである。

変革をじかに訴え

 山川が社内を訪れた。山川はまず社内各部署の紹介を受け、現場での作業を確認して回った。製造部、物流部、営業店舗、コールセンター、間接部門。各部門を回って、現場の社員の一生懸命さを理解が出来た。しかしながら、この部門回りでは業務の表面をなぞったことにしかならない。企業を変革に導くのに最も重要なものは、現状を正しく把握するということである。山川は、各部門責任者に紹介を受けると同時に、現場の人間へのインタビュー時間を設定していった。
 丸1日をかけて社内を回り、紹介を終えた時点で山川は宮下に、責任者クラスの従業員を一同に集め、今回の取り組みに至った経緯を伝えることを提案した。官下自ら「現状を変えて、大きく変化をしなければ生き残っていけないこと。その変化にタブーや聖域は設けないこと。現場レベルと経営レベルで共に考え変革を実行していくこと」を訴えるべきであると山川は言った。
 山川が現場を見て回った時点で、現場での作業は当然のごとく行われているが、目標の設定や改善への取り組みを積極的に行っている雰囲気がないと感じたからである。宮下は思った。「確かに現状を全員に伝えてはいない。うすうす気が付いている社員はいるだろうが、会議の場で話したことはない。しかし、話すことで逆に不安をあおることにならないのか」。山川は答える。
 「宮下社長、社長の口から大きく変化して生き残ることを強く訴えるのです。そのためには、従業員の意識を高め、変革の雰囲気を作らなければならない。おくすることなく、社長ご自身の口から、変革のビジョンを明確に示しましょう!」

 宮下は訴えた。「わが社はこれから大きな変革を行う。これは、今を生き残ることだけではなく、将来も安定した成長企業としてあり続けるためだ。そのためには、聖域は設けない。現状を正確に把握し、課題を抽出し、スピードを上げて変革に取り組む。全従業員の前向きな取り組み姿勢をお願いしたい!」。会場は一瞬、ざわついたがすぐに宮下の熱気が伝わったかのように、全員が真剣なまなざしで社長を見つめた。ようやく、改革の前準備、意識を高める作業に取りかかったのだ。
 ここから、山川は各部門とのインタビューを行った。そこでは、現状の業務の流れ、効率的と考えられる業務の流れ、なぜ効率的に業務が行えないのかという3点から徹底的に現状を洗い直した。また、インタビューを行う際に山川は必ず現状の課題と思われることを伝えるとともに、これから効率的な業務プロセスを組み立て、競合企業に勝つための知恵を全員で出し合い、新しい会社の仕組みを作っていきましょうと訴えかけた。

意識高揚が最優先課題

 山川はこれらの調査を進めるとともに、宮下社長以下経営陣に次のように伝えた。
 「ゆっくりとだが、利益率が下がってきている現状にあるにもかかわらず、社内にそうした雰囲気がないことに危機感を覚えた。宮下社長ご自身から従業員に、危機感と変革そして今後の希望を話しかけてもらったのは、この点を変えていくことが改革の前提条件だからだ。インタビューの中で、現状の業務プロセスを正確に把握しているが、必ずこれらの危機感と変化への希望を話している。時間はかかるが、現状を認識することと改革意識を高めることが今、最優先されるべきことだ」
 「現状を正確に把握した後、業務プロセス上、組織上、コンピューターシステム上の課題を抽出し、根本的な原因分析に取りかかります。経営の方々もそのつもりで、現状の意識改革に努めて下さい」
 ※これから先の変革へのプロセス、そこでの障害、その対応などを次号以降に紹介していくことにする。この企業の構造改革が、読者の皆様方の日々の取り組みのヒントになれば幸いである。
(登場する人物・団体はすべて架空のものです)

文/朝日ビジネスコンサルティング・古川 武史
takefumi.furukawa@asahibc.co.jp

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