Asahi Business Consulting|朝日ビジネスコンサルティング

朝日ビジネスコンサルティング 福岡・九州を中心にサービスを提供するコンサルティング会社です

Asahi Business Consulting|朝日ビジネスコンサルティング

朝日ビジネスコンサルティング 福岡・九州を中心にサービスを提供するコンサルティング会社です

第2話 「改革のコンセプト」

ケース1.~(株)○○菓子本舗の場合

 コンサルタントの山川が我が社にかかわり始めて1カ月が過ぎようとしていた。この間、山川は業務の流れを漏れなく把握していくとともに、社内の雰囲気についても把握していった。
 業務プロセス、組織体系、コンピューターシステムの観点から現状を把握した段階で、課題に関する抽出を行い、その原因についても体系的にまとめる作業が行われた。
 この段階で、社長の宮下以下、経営陣に対して「現状報告会」が開かれた。
 山川は、これまでの作業の中で作成した優先度が高い主要課題、すべての課題を抽出した課題リストおよびこれらの課題を認識するに至った各種資料を提示し、次のように説明した。
 「課題は大きくマネジメントに関する課題とオペレーションに関する課題の2つに分類できます。マネジメントに関する課題は、戦略的な部分で例えば市場環境がどのように変化してきていて、今後どのように変化していくと予想されるのか? それに対して、我が社ではどのような取り組みをしていく方針なのか? 競合他社は、どのような活動をしているのか?等々、会社の進む道筋に関することです。一方、オペレーションに関する課題は、業務プロセス上の効率、業務品質、数値の精度およびスピードに関連する問題、組織上の権限や機能の問題、そしてこれらを支える基盤としての情報システムの抱えるものと、いえます。
 御社における課題は、これら両方の課題が混在していると言えます。まず、マネジメントの課題についてですが、市場環境や外部環境に関する調査、検討が非常に浅いといえます。どの土俵で戦っていくのか? 誰と戦うのか? どの部分で競争をするのか? (どの部分で競争すると勝てるのか)という点が非常にあいまいになっています。これまでの改善策が果たして市場環境や外部環境に即した施策であったのかどうかが、これまで結果が出ない原因だったと考えられます。
 一方で、オペレーション部分についての課題についてですが、効率化の観点からの課題が非常に多いという状況だと認識されます。効率化の観点から見れば、同じような作業をいろんな部署で行っている。また、本来はコンピューターにさせればよいことを人間が行っている。コンピューターシステムが業務オペレーションをサポートしていない状況です。これでは、本来、注力すべき業務に社員が注力できず処理業務に追われてしまいます。
 また、機能的な組織になっていません。特に弱い部門として、物流と商品企画の機能。製造部門と営業部門をつなぐ部門の機能が非常に弱い。これでは、利益をどの商品でどのように獲得していくのかの道筋が見えない状況です。また、組織や人の問題ではモチベーションを上げるための施策についても準備されていません。各部署や人の行動を評価するための合理的なものさし(指標)もない状況であり、注力すべき目標が設定できない状況です」
 社内に存在する課題を4つに分類し、その原因が整理された資料を目の当たりにして宮下は思った。「これまでは、課題の1つひとつをとらえることはあっても、全体の課題をあぶり出し分類することがなかった。また、全体の課題から原因を特定しまとめることがなかった。このように整理すると、解決すべき課題は数種類に絞られる」
 課題の整理に関する説明を終えた山川は、さらに次の説明に移った。
 「課題の分類と原因については、今、説明した通りです。ここで、すべての課題を同様に扱うことを避けるために優先順位をつけていきます。課題の優先度については、経営にインパクトがあり、かつ、原因を解決すれば結果として多くの課題を解決できるものから取り組みます」

 ここで提示された課題は、戦略の再構築に関すること、業務プロセスの効率化に関すること、および組織上の機能強化に関するものであった。これらの課題を検討し、解決の方向性や具体的な対策を立案していくためにプロジェクトを立ち上げることになった。
 山川は宮下らに「ここでプロジェクトを立ち上げて、メンバーと検討していくのは社内の人材育成の観点からも重要になります。いつも困った時に外部の人間に頼る体質そのものを変えないといけません。コンサルタントの思考プロセスや変革の進め方を学ぶいいチャンスとなります。ですから、メンバーは多くは要りませんが、今後、御社を背負っていくと期待される方の人選をお願いしたい。解決策の答えを外部のコンサルタントに依頼する企業が多いが、社内の人間をプロジェクトの中心に据えることは重要です。外部のコンサルタントが立てた机上の空論は役に立たない。社内のメンバーが共に立案した解決策こそ、今後の社内改革に重要なものとなるのです」とお願いした。また、次のようにも話をした。
 「各種の課題を解決するだけでは、その改善は一過性になると思われます。常に改善していくためには、社内風土の改革も一緒に行う必要があります。そのためにも社内メンバーをこのプロジェクトに携わってもらいましょう」
 宮下は思った。「課題を解決すれば、業績が改善すると考えていたのは間違いだったのかもしれない。そもそも自社内で解決できない今の現状が問題であったのだ。今回は、各種の課題解決とともに社内風土改革、それを推進できる人材育成を行っていくことにしよう。社内であつれきが生まれるかもしれないし、これまで社内にあった聖域みたいなものにぶつかるかもしれない。これらを乗り越えることの出来る人間を抜てきしなければならない」
 この会議後、プロジェクトメンバーとして製造部、営業部、経理課、そして情報システム部の4人が抜てきされた。初顔合わせとなった日、プロジェクトのキックオフが開かれた。冒頭に社長の宮下から次の言葉がかけられた。
 「このプロジェクトは、弊社の今後10年を決定付けるものになる。このプロジェクトは社長直轄という形で運営していくので、聖域を設けない。プロジェクトの意味を理解した上で、精力的に活動してほしい。また、山川さんの考え方やアドバイスを引き出し、自分のものにもしてほしい。業績の改善と社内風土改革、これがこのプロジェクトの目標である」

文/朝日ビジネスコンサルティング・古川 武史
takefumi.furukawa@asahibc.co.jp

このページの先頭へ戻る

朝日ビジネスコンサルティング株式会社 〒812-0011 福岡市博多区博多駅前 2-2-1 福岡センタービル 5F TEL 092-436-4141 FAX 092-436-4143

Copyright © 2005-2017 Asahi Business Consulting Co., Ltd. All rights reserved.