Asahi Business Consulting|朝日ビジネスコンサルティング

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第5話 「改革の実行(人・組織とIT)」

ケース1.~(株)○○菓子本舗の場合

 変革も大詰めを迎えた。前号までに記載したように業務プロセスの改革は従業員の意識改革を含めて進んでいる。
 検討された新しい業務プロセスを効果的、効率的に実行するためには、組織の変革、ITの改善は必須であると考えられた。プロジェクトメンバーは総仕上げとして、これらの改革に取り組む気構えでいた。
 コンサルタントの山川は次のようにメンバーを前に話した。
 「さあ、業務プロセスを変更するとの社内通達は終わった。なぜ変化をしないといけないのか? 変化をすることで、どのような結果をもたらそうとしているのか? 全部署、全従業員へ伝えた状態である。従業員の会社あるいは仕事への考え方、意識も大きく変化してきたと思う。ここからが、総仕上げだ。新しい業務プロセスを効果的に運用していくためには、組織を整備する必要がある。組織を整備すると言っても、統廃合というものではなく、部署のミッションを明確に示していく。この部署は、どのような成果を求められているのか? そのために、必要な権限は何なのか? を明快に示す必要がある。そうすることで、業務プロセス、手順と言っていいかもしれないが、スムーズに流れるようになる。そしてそれを支えるシステムの構築を効率性という観点から始めていく。これこそが、今回の狙いだ。そうすることで、利益率の改善という最終目標を達成できるのだ。あともう少し。全従業員を巻き込んで、効果的に進めましょう」
 この言葉にメンバーは燃えた。これまで検討してきた業務プロセスにおいて、各部署がどのような役割を求められ、どの数値に責任を持つべきであるのか? 再度、この点を検証し、確認を行った。それから、各部署の責任者を集めて、説明を行った。これまで明確に部署ごとの責任数字や役割を説明されることなく、慣習の中で作業が進んでいた社内には大きな変化が見られ始めた。各部署内で求められている成果に対して、部署内での自助努力が始まったのである。役割と責任数字が明確に示されたことで、これらの責任を果たすために、自分の所属する部署では何をどのように行っていくのか? これまでの経験から考えるのではなく、ゼロベースでの検討が社内のあちこちで見られるようになったのである。さらに、改善のスピードが一段と上がった。各部署ごとでの検討が随時行われ、変更が日々繰り返されることで、改善のスピードが上がったのである。このプロジェクトが始まるまで、変革への抵抗が大きく、変化スピードが遅いことが会社の特徴であったとは考えられないスピードで変わっていっている。プロジェクトメンバーは、まさに今、このことを実感している。
 山川は言う。「人間は元来、変化を好まない。しかしながら、現状をしっかりと認識し、課題を自分のレベルで感じ取った時、そのままでいることをきらうのも人間である。今の変化の源は、これまでの仕事としてきたことに対して課題をしっかりと認識し、変わらなければならないという意識を全従業員が持てているということだ。従業員を巻き込めれば、後は自ずと変化していってくれる」
 組織・人の変化の一方で、業務プロセスを支えるもう一方のIT、システム活用についても情報システム部を中心に検討が進められた。ここまでの変化で起こっているように、各部署が求められる役割を達成するために、コンピューターという道具をいかに利用していくのか? 最少限の投資で、最大の効果を生むためにはどの部分を強化すべきなのかという観点からの議論が始まっていた。
 これまで社内で行われてきたシステム化とは大きく違うアプローチであった。システムが老朽化してきた、あるいは新しいツールが開発されたという情報から、次のシステムを検討してきた点が、業務効率を上げる観点からの検討に変わったのである。情報システム部に与えられた役割が明確になっただけでなく、従業員がコンピューターシステムを道具として認識したのである。あくまでも成果を挙げるために必要な道具はどういったものであるのかと考え始めたのである。
 業務プロセスの変革に始まり、それを支える組織・人、ITの変革が行われた。プロジェクト開始の目的であった利益率の低下という現実も回復を見せ始めた。これほどの変化が現れ始めたという話を聞くと、信じられないという社内外の人間も多かった。
 社長の宮下は言う。
 「結果指標と言われた利益率が上がってきている。これほどまでの効果が現れるとは、正直な話、思っていなかった。何としても改善していきたいとは願っていたのだが…。特別な改革や目新しいことをやったとは思わない。これまでも社内で取り組んできた内容と大差はない。しかし結果は大きく違っている。なぜなのか? 山川さんが言われる意味がようやく分かった気がする。現実をしっかりと見据えること。従業員と共に現実とそこに顕在化している課題を認識すること。顕在化していない課題も、きっちりと把握し、共有すること。そして、あるべき姿を愚直に追い求めること。この辺りでいいやと思えば、そこまでしか変化出来ない。それを実感した。目標を明確に定め、その目標までの道のりを描く。迷わないように、途中途中で効果を測定するための物差しと数値目標を用意する。そして、全従業員で走り続ける。苦痛を感じても、共に支えあうメンバーがいれば戦い抜けるのだ。そのためには、外部の支援も時には必要であるし、何より社内のメンバーに、変革の方法、いや、戦い方を教えてもらう必要はあった」
 山川は言う。「コンサルタントはしょせん、外部の人間。変革を実践していくのはあくまでも社内のメンバーである。この点は間違ってはいけない。外部の人間だからこそ、変革を実現するという結果に責任を持つ必要があるし、変革への実践が社内メンバーで行うものである以上、時には温かく支援をし、時には厳しく注意を促し、時には叱咤激励する。共に、変革という戦いに挑むメンバーであるという認識が必要である。その意味で、今回のプロジェクトにおいては、プロジェクトメンバーの方のがんばりもあり、短期間で社内風土までも変更できたと思うし、プロジェクト内もいいムードを保てた。これで、もう大丈夫。この雰囲気と対処法を経験したメンバーがこれからも会社を時代の要請にあうように変化させ、利益体質の企業として存続できる」

文/朝日ビジネスコンサルティング・古川 武史
takefumi.furukawa@asahibc.co.jp

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