Asahi Business Consulting|朝日ビジネスコンサルティング

朝日ビジネスコンサルティング 福岡・九州を中心にサービスを提供するコンサルティング会社です

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第1話 「現状把握」

ケース2.~某ビジネスホテル経営者の挑戦

 わが社は、都心でビジネスホテルを運営している。都心で4カ所を運営しており、ビジネスホテルでありながら、シティホテル並みの部屋の作りとサービスを提供することで最近乱立するスーパービジネスホテル(超低価格路線)との価格競争を避けてきた。創業してはや15年がたち、設備の老朽化に対する対応策も考えなければならない時期が来た。そこで、さらに金融機関からの借り入れによって設備対応を行う方向性が出された。このプランをもとに金融機関に対し、融資依頼を行った。ここまでは想定通りであった。
 しかしながら、ここから想定していない事態が起きたのだ。融資依頼を行った金融機関から現状のままの融資に関しては難しいとの回答が来たのだ。このような回答が来ると想定もしていなかった社長の船越は焦った。「何がいけないというのだ!」。
 早速、船越は金融機関を訪れる。これまでの付き合いの中でこのような回答が来るとは想定していなかったこと、計画に無理があるとは考えられないことを伝えた。しかしながら、金融機関は首を縦に振らない。反対に金融機関からは次のような話を受けた。
 「貴社の経営状況に多少の不安要素が見えます。ここ数年の経営状況を見せていただいていますが、右肩下がりの客室稼働率と客単価の下落傾向が気になります。また、この地区での新規チェーンホテルの開業が今後相次いで行われるなど、経営環境は厳しさを増しています。このような状況の中で、今後、貴社がどのような経営計画、アクションプランをお持ちなのかを尋ねてきましたが、明確な方向性を聞かせてもらえない。さらには、今期の足元の損益も非常に厳しい状況だと聞いています。今のままでは、当行としてさらなる融資を行うことが非常に難しいと言わざるを得ない。これまでのお付き合いもありますし、何とか協力を行いたいと思っておりますが、現在の競争環境の中で打ち勝つだけの経営計画を提出いただき、その上で検討を行わせていただきたいのです」
 船越は思った。「今更、何を言っているのだ。開業以来これまで、経営状況の報告は行ってきたし、経営環境の変化についても話をしてきた、確かに、ここ数年、競争環境が今までにないくらいのスピードで激変しており、それに対抗する戦略や戦術も明確には打ち出してはいない。しかし、今、融資を受けて設備をメンテナンスすることも経営環境変化に対する方策ではないか。それを、経営計画が甘いと言われ、計画を作った上で融資の可否を判断するというのはどういうことだ」
 金融機関からの回答をじかに受け取った船越は、その足で以前から顔を合わせていたコンサルタントの山川のもとへ向かった。
 山川に会った船越は、現状をものすごいスピードで伝えた。
 「弊社も創業15年を迎える。ご存じの通り、4軒のホテルを運営しており、そろそろ設備投資を行う時期だと考えた。これまでも金融機関とはうまくいっていたし、経営状況もありのままを伝えてきた。だから、すぐに融資に応じてくれると思って、設備投資計画を持って金融機関へ融資交渉を行ったのだ。そうしたら、金融機関から貴社の経営計画は不十分で、現状のままでは融資に応じられないと応えてきた。そのホテル経営の重要な指標となる客室稼働率と客単価については、確かに右肩下がりではあるが、高い水準で推移しているから問題ないんだ。それを、今更、融資に応じられないとはどういうことなんだ。山川さん、あなたはどう思う?」
 突然事務所を訪ねてこられ、現状をまくし立てられた山川であるが冷静に話を聞いた。この冷静沈着な態度、そしてこれから見せるであろう、時に情熱的な態度が山川という男の特徴である。そんな山川が言った。
 「船越社長、私は貴社の状況を知らない。これまでの経営状況についても知らないし、貴社を取り巻く環境についてもよく知らない。しかしながら、今お聞きした金融機関とのやり取りでは金融機関もすぐには融資を行ってくれはしないでしょう。船越社長、まずはこれまでの経営環境から大きく変わっていることを理解しなければなりません。経営計画も明確でない会社に融資を行う程、金融機関融資も簡単ではなくなった。不良債権処理という形で、これまでの融資で不十分だった審査業務などに力を入れているし、返済能力が低いと判断される、あるいは返済能力が高いと明確にいえない会社に対して融資を行うことが難しくなっているのです。それに、貴社のビジネスは競争が激しい。その競争に負けないと判断されるモデルを作り上げない限り、今後さらに経営としては厳しい状況になると考えるのが外部者の視点から貴社を見た感想だ」
 船越は考えた。
 「環境が変化しているとはこういうことなのか…。これまでうまく付き合ってこれたから金融機関も今回の計画についてはすぐにゴーサインが出ると思っていた。山川さんや金融機関が言ったように、弊社を取り巻く環境は厳しさを増しているが弊社は大丈夫だと思っていた。計画があいまいでも、これまでも結果を出してこれたし、今後も大丈夫だと思っていた。そうではなかったのだ。これだけ競争が厳しくなってきた状況だからこそ、誰にでも今後の経営が大丈夫なんだと分かる計画を立案しなければならないんだ。しかし、これまで、そのような活動を弊社のみで行ったことがない。一体、どうすればいいんだ?」
 そう考えている船越の視線の先に山川がいた。
 「山川さん、あなたの力を貸してくれないか。何としても競争に打ち勝つ経営戦略を作って、金融機関の融資を取り付けたい」
 山川は答えた。「船越社長、金融機関の融資が最終ゴールであるならば、私は手を貸すつもりはない。そうではなく、厳しい経営環境と貴社のおかれた現状をきっちりと認識し、今までの経営の弱点を克服するための作戦を立て、それを実行する。強い会社作りを戦略面、業務プロセス面、組織や人の面等々の視点から行うという強い意志がおありならお手伝いをしましょう。しかし、そのためには社長自らが変化しなければならない。甘い考えではこの先の改革が行えない。どうしますか?」
 船越は迷わず答えた。「分かりました。強い会社を作ることに、私の全力を傾けます。」
 次号以降、船越の改革が始まる。

文/朝日ビジネスコンサルティング・古川 武史
takefumi.furukawa@asahibc.co.jp

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