Asahi Business Consulting|朝日ビジネスコンサルティング

朝日ビジネスコンサルティング 福岡・九州を中心にサービスを提供するコンサルティング会社です

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第2話 「現状の診断」

ケース2.~某ビジネスホテル経営者の挑戦

 創業15年を迎え、4軒のビジネスホテルを経営している船越社長が、コンサルタントの山川を尋ねて2週間が過ぎようとしていた。
 金融機関から融資実行の条件が中期的な経営計画であるとの話を受け、この計画の策定に取り掛かり始めた。
 山川は船越に言った。
 「船越社長。経営計画を立案するために何が必要だと思いますか?」
 船越は答える。「それは…、今後の売上予測や経費予測でしょう。なんと言っても売上と経費を、どのように見通しているかという点が銀行は欲しいだけでしょうから。でも、先のことが分かれば、すべての会社が成功しますよ。そうでしょう?だから、予測というよりも目標を提示すればいいのですよ。」
 山川は厳しい口調で話をした。
 「船越社長。まずは、あなたのそのような考えを変えてもらう必要がありそうですね。必要なものは予測や目標ではない。経営者として、会社のトップとして、自分が最大限の努力をして到達できる目標が必要なのです。適当に数字を作ることではない。これは、あなたが他の者に約束をする数字なのです。まずは、この重みを分かって欲しい。数字は作るがいつも達成しない、達成したとしても事業運営上、必要な利益に足りないというものでは事業を運営する資格はない。」この言葉を黙って聞いている船越に対して、さらに山川は続けた。「金融機関並びに従業員に対して約束をする数字なのです。だからこそ、慎重にかつチャレンジングなものでなければならない。そのような数値を作っていくのに何が必要か?それは、現状を正しく認識することです。今の売上をどのように考えているか?今の経費額をどのように考えているのか?つまり、過去から現在に至る時間の中で、何が原因で現状があるのかを正しく把握することが必要なのです。」
 現状を認識するところから始めよう。船越は、これまでの決算書を山川に渡し、現状を正しく把握してもらうことにした。
 決算書を基に山川は当社を分析した。山川は次のように言った。「決算書だけでは不十分ですので、売上及び経費関係に関してヒアリングも一緒に行いたい。まず、売上高にしても宿泊、販売それから飲食の分類が最低限必要です。また、宿泊に関しても電話で受けたものなのか、旅行会社経由なのか、インターネット経由なのか、またこれらに伴う費用及び原価はどのように推移しているのか?売上が取れないとすると、その原因はどこにあると考えているのか?経費や原価率が高いと判断しているとすれば、それは何に起因するものなのか?やり方なのか仕組みなのか、または意識なのか? これらも明確にした上で現状を明らかにしたい。ついては、ヒアリングメンバーの人選をお願いしたい。これらのメンバーは経営計画立案後、計画を実行に移す段階でリーダー的に動いてもらう人間にして頂きたい。」
 船越はすぐに人選を行い、ヒアリングと課題の抽出の作業を山川と共に行うように指示した。これらメンバー間で、現状の分析が行われ、業務プロセス、組織体系、コンピュータシステムの現状の観点から課題が抽出され、報告が船越に行われた。
 「現状を見させて頂きました。決算書の数値だけでなく、社内で管理している計数及び業務を行われている方々へのヒアリング内容も含んだ上でご報告をさせて頂きます。
 まず、現状についてですが、ご認識をされている通り売上に関しては右肩下がりです。具体的には客室単価の維持は出来ているが稼働率の低下によって売上減となっています。これは当社の価格競争を行わない戦略が実行できていると評価してもよいと考えられる。しかしながら、稼働率は低下している。低価格を求めるユーザーは仕方がないとしても、それ以外のユーザーに対するセールスがうまく機能していないと考えられる。具体的には、広告宣伝を行うわけでもなく、インターネットを介した情報発信も行うことが出来ていない。新しいユーザーに知ってもらうための努力を行わず、自己満足に陥っていると考えられる。一方で、経費部分ですが削減努力が非常に伺えます。経費削減に関しては一定の効果を得ているといってもいいでしょう。しかしながら、人件費に関してもっと効果的な運営を考える必要があるようです。1人1役から1人2役へ展開が出来ればいいのではないでしょうか?」
 船越は、この答申を受けながら考えた。「コストコントロールはうまくいっているが、まだ売上確保の余地があるということか。自分としては、今が精一杯の努力を行った結果だと思っていたのだが…。外部から見る目は違うものだ。」
 山川は続けた。「ここまで話をしてきたように、経営計画を作るにあたって、改善すべき、改善可能な課題があるということです。この改善の方向性とその効果を定義した上で経営計画の立案に取り掛かるべきです。現状の収益構造では融資は難しい。これが金融機関から突きつけられた現実なのです。ならば、どういった課題を当社として認識をした上で、その課題に対してどのように取り組み、結果を出すのか? ここが今回の計画のポイントになります。」
 船越は答えた。「当社の課題は認識できました。解決策の方向性も認識しましたし、私が考えている方向と同じであると思います。今後ともよろしくお願いします。」
 山川は言った。「船越社長。何度も言っていますが、お願いするという言葉では駄目なんです。社長ががんばるのです。それをお手伝いは致します。この認識を早く持ってください。」
 課題は明らかになった。今、当社が取るべきは経費のさらなる削減ではなく、当ホテルをどのようにお客様へ知っていただくのか。営業戦略とも言うべき売上確保のためのプロセス改善こそが必要なのだ。その戦略が立案でき、目標数字が明確に立案できれば、必然的に経営計画が出来上がる。これからは、市場環境や競合他社の動きを考慮した営業戦略立案を考えることとなる。

文/朝日ビジネスコンサルティング・古川 武史
takefumi.furukawa@asahibc.co.jp

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