Asahi Business Consulting|朝日ビジネスコンサルティング

朝日ビジネスコンサルティング 福岡・九州を中心にサービスを提供するコンサルティング会社です

Asahi Business Consulting|朝日ビジネスコンサルティング

朝日ビジネスコンサルティング 福岡・九州を中心にサービスを提供するコンサルティング会社です

第5話 「改革の実行(2)」

ケース2.~某ビジネスホテル経営者の挑戦

 創業15年のビジネスホテルの収益改善計画の立案を始めてから、2カ月が経とうとしていた。先月号に記載の通り、具体策の立案も出来、プランは実行段階に入った。
 社長の船越、検討メンバーの海田、下川の3名は、精神的にも肉体的にも極限状態である。
 社長の船越は、この検討に入った時のことを思い起こしていた。
 2カ月前の金融機関との融資交渉が暗礁に乗り上げた時点からのスタートだった。
 これまでの資金調達の流れの中で、融資を依頼した金融機関から思わず帰ってきた「この状態での融資は難しい」という回答。聞いた瞬間には、ピンと来なかった。しばらくして、背筋に冷や汗を感じた。
 検討に入ってからも、これまで行ってきた経営判断のミスを感じる日々。反省と表現しようのない感情。
 当社の売上は、既存顧客のリピート利用で客室稼働率・客室単価を維持しており、競合ホテルの乱立により新規顧客獲得に苦戦が起こり、稼働率・単価共に下落傾向であるとの認識していた。今になって考えると、恐ろしい認識ミスだった。実際は、新規顧客の稼働率に変化はなく、客室単価の下落も多少はあるものの全体に与える影響は小さい。逆に、既存顧客のリピート率が下がっており、単価も大きく下がっている。このことを認識せずに打った対策の数々。そして、現実の数字。
 そのような感情に浸っていた時に、電話がなった。電話の向こうは、コンサルタントの山川である。
 「お疲れ様です。具体策が明確になり、ホッとされているのではないかと思いまして。これまでの徹夜の日々を考えると、一息つきたいところでしょう。
 しかし、社長。プランが出来ただけのことです。実行に移すことが必要なこと。そして、実績という名の果実を確認するまで、気を休めないで下さいね。ここで気を抜くと、これまでの検討漬けの日々が水の泡ですよ。ホッとするなと言っても、ついつい、してしまう時期ですから、ここはどうでしょう。社長ご自身も立案した戦略にのっとって、営業活動をされてみては?」
 船越は思った。「山川には、すべてが見透かされている。確かに、後は結果を待つだけだという感覚に襲われていたな…。」
 「そうですね。考え抜いたプランを自分自身で試していきます。」船越は山川に答えた。
 それから、すぐに船越は、財界の会合名簿に目を通した。地元の集まりの中で知り合った経営者達にアポイントを自ら取り、出かけたのである。
 船越は、企業を回り始めた。
 オフィス環境を充実させ、会議スペースや作業スペースを設けたホテルをアピールした。
 ある企業を訪問した際に、このような言葉をもらった。
 「船越社長。御社からの営業活動は始めてです。老舗ホテルであるし、存在は存じておりましたが、なかなか利用するきっかけがなかったのです。弊社は、ご覧の通り、事務所スペースが手狭で、会議スペースがないんですよ。ここまで、ビジネスシーンを想定された上での提案であれば、一度、利用させて頂きますよ。さずが、老舗のホテルですね。顧客のニーズを創造していらっしゃる。」
 驚くべき反応であった。何より、考えていた仮説にマッチした企業が近くに存在していたことが嬉しかった。それも、直に聞いた反応。
 「懐かしい感覚だな…。これほどの喜びを感じたのは。社会人になりたての時に、徹夜をして考えた営業プランが受け入れられた時に感じた嬉しさと、しびれる感覚。これだったのだ。ビジネスとは、顧客を創造していくことが原点だったのだ。」
 会社に戻った船越は、すぐに海田、下川を集めた。船越が話し出そうとした瞬間、海田が話し始めた。
 「社長、アンケートハガキにあった小物類の整備を行いました。今まで使用していたものが悪いとは自分では感じておりませんでした。本音を言うと、立案したから実施をしたという感覚が強かった。しかし、利用されたお客様の声を聞いて、目からうろこが落ちたという感覚です。今までにないアメニティで感動した、販売も始めたらどうか・・・等のお褒めの言葉を頂いた。私は嬉しくて、嬉しくて…。」
 続いて、下川も話し出した。
 「記念日プランのハガキを出し始めました。作成してみると、あまりにありきたりだったので、お一人お一人にコメントをつけてみました。するとどうでしょう。海田さんがお話をされたように、お客様からの反応が早い。ありがとうというお電話が非常に多く入ってきています。さらに、記念日の予約を頂けるのです。覚えていてくれてありがとう、思い出せさせてくれてありがとう…。忘れていました。私たちはお客様に感動して頂けるサービスを常に心がけなければならなかったことを。本当に嬉しい。」
 こうして、プランは動き出した。
 3人が感じた、これまでとのお客様との反応の違いが結果としても表れた。
 この数年、計画をクリアできなかったことが嘘のように、計画を次々にクリアしていったのである。
 この結果を携え、船越以下、メンバーは山川と会った。
 「計画予算をクリアしました。当たり前のようにクリア出来なかった日々が嘘のようです。あ~、これが目標を立て、目標をクリアしていくことの喜びなのだと思いました。何よりお客様からの反応が嬉しい。お客様に満足して頂く事が気持ちいい。仮説通りの反応、立案した計画をクリアした実績。今、すごく充実しています。」
 海田、下川も同様の気分のようである。
 山川は言った。「まずは第1関門を突破しましたね。分析をし、仮設を立案し、戦略を立て実行する。このプロセスを繰り返すことが重要なのです。そして忘れて欲しくないのは、今感じていらっしゃる喜びと充実感です。何かを達成した者にしか分からない感覚を大事にしてください。第2関門以降に進みましょう。もう恐れることはありません。顧客創造こそが企業の競争力の源泉なのです。」
 こうして金融機関からの融資も実行され、今時点でも業績向上サイクルが回っている。

文/朝日ビジネスコンサルティング・古川 武史
takefumi.furukawa@asahibc.co.jp

このページの先頭へ戻る

朝日ビジネスコンサルティング株式会社 〒812-0011 福岡市博多区博多駅前 2-2-1 福岡センタービル 5F TEL 092-436-4141 FAX 092-436-4143

Copyright © 2005-2017 Asahi Business Consulting Co., Ltd. All rights reserved.