Asahi Business Consulting|朝日ビジネスコンサルティング

朝日ビジネスコンサルティング 福岡・九州を中心にサービスを提供するコンサルティング会社です

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第1話 「現状把握」

ケース3.~某建設業経営者の挑戦

 わが社は、建築工事の設計、施工を昭和50年代から主たる事業として展開してきた企業である。従業員は多くはないが、公共事業だけではなく、民間の事業についても地域に密着する形で事業展開を行ってきた。
 「バブルと言われる華やかな建設ラッシュ。業績も急成長を遂げていた。従業員も忙しさの中で潤いを感じ、社内も活気に満ちていた時代…。今では、はるか昔のように感じる。現時点において、そんな時代があったとは思うことも出来ない。公共工事縮小が叫ばれ、民間の建設も減ってきた時点での舵取りが誤っていたのだ。順調な時代だからこそ、経営体質、基盤を変えておくべきだったんだ。どんぶり勘定での経営でも何の問題もなかったあの時代の負の遺産をここまで引きずることになろうとは考えもしなかった。
 工事を請け負っても利益が出ない。工事規模も縮小し、かつ工事数も減少してきた。厳しさを身にしみて感じた今、いったい経営者としての自分に何が出来るのか?いや、何が出来るのかではない。何をしなければならないのか?」
 大きなため息をついたのは、ここのところ疲れ気味の社長の天野であった。天野は、この3年の売上推移や利益推移、財務状況を社長室で検討していた。売上高は年5%規模で減少しており、利益はここ2期赤字である。昨今の市町村合併に伴う環境整備事業や、景気が上向いてきたことによる工事案件数の増加は市場では見られるものの当社の利益回復は思うように進まない。営業担当者は、案件毎に見積りを作成する。その時点で、担当部長を経て天野のところに、予想利益と一緒に決済が回ってくる。この時点での数字を集計すると、確実に営業利益まで確保できるはずである。しかしながら、決算書を作成すると利益が確保できない。「なぜなんだ…?」
 このままの状況では、今期を乗り越えることは出来ない。そう考えた天野は担当部長を呼んだ。「なぜ、利益が確保できない?見積りはきっちりと作成しているのか?利益が確保できないのはおかしいのではないか?」
 担当部長は答える。「見積もりはきっちりと担当者が作っています。私も決済時に確認をしていますが、おかしなものはない。利益が出ないのは、施工段階で余分なコストがかかっているのではないかと思います。社長がおっしゃる課題を認識していますし、私も担当者に確認を取りながら、少しづつコスト削減を行っているところです。」
 それから、数カ月が過ぎた。売上高は予算をクリアしている。利益は…、現時点の損益計算書ベースでは確保できている。しかし、経理担当者によると見積り時点で予定している経費のうちまだ請求書が来ていないため、いまだ計上していないものがあるという。つまり、現時点で利益が確保できているかどうかという確証は持てないのだ。
 天野は、心の中で叫んだ。「俺は何を信じればいいのか?これでは、今までと同じではないのか…。今期、赤字は絶対に出せないのだぞ。」
 そう考えていた天野のデスクの電話が鳴った。「景気はどうだい?工事数自体が増えているから、今期はいいんじゃないか? こっちも前期は利益確保が難しかったけど、今期は利益はしっかりと確保できそうだぞ。」電話の主は、他の会社ではあるが、いつも相談にのってもらっている田宮である。「田宮さん、ちょっとお昼でもいかがですか?」
 お昼を一緒に取りながら、天野は田宮に話した。「売上高は、ほぼ予算通りです。しかし、利益については、よく分からないのです。現時点では確保できている。しかし、この数字を信じていいのか私は分からなくなっている。怖いんです、田宮さん。」
 田宮は、「そんなに深刻なのか?社内で信じれる人間は? お前1人では難しいんじゃないか? 誰かいないのか? 俺は、あまり人を紹介をしないが、1人だけ信じれる人間がいるぞ。コンサルタントだが、これまで会ったコンサルタントとは違う。問題点を出して、こうしろ、ああしろと言うタイプではない。どちらかというと実務家タイプだ。実は、数年前に彼と出会って、問題点を解決したんだ。」 天野は答えた。「紹介してもらえますか?」
 天野は、社長室にいた。昨日、田宮から聞いたコンサルタントの山川に連絡を入れた。ホテルで会いたいと申し入れたが、山川からはわが社で話を聞きたいとの答えだった。会社の雰囲気を含めて知りたいとのことであった。
 山川が社長室へ入って1時間が経った。この間、天野は会社のこれまでの推移や見積りから工事受注に関する営業プロセス、組織や人員について、今の不安について話をしていた。山川はこまめにノートを取るが、一言もコメントを発していない。「どう思いますか?山川さん。」天野は初めて山川へ意見を求めた。
 山川は次のように答えた。「これまでの推移、現時点の課題について、社長の不安について理解をしました。社内の雰囲気も感じています。これまでの中で気になった点は1つです。天野社長の決意と行動です。多くのことを聞きましたが、社長がどうも他人任せの経営を行っているようにしか聞こえません。利益確保について何をしなければならないのか?詳しく現状を見なければならないと思いますが、社長にお聞きする限り、細かい点を聞こうとすると担当部長であったり、経理部長の名前が出てくる。社長が危機感をお持ちなのは分かりますが、他人任せとしか見えないのです。社内の雰囲気についても同じです。」
 思っても見なかった言葉であった。社内の課題や解決の方向性についてコメントをもらえると思っていた天野の考えとは違っていた。自分自身に問題があるとは…。
 山川は続けた。「間違った理解をして欲しくはありません。私が伝えたかったのは、この状況において、社長が自ら会社の改革に意欲を持ち、かつ自分自身が陣頭指揮を取り解決していくという考えを持って欲しいということです。他の誰でもない。社長自身がもっと会社のことを理解し、深く掘り下げて解決策を考えて実行する。この気持ちを持ってもらう必要があるということです。田宮さんからお話を聞かれているかも知れませんが、私は社長と思いを一つに出来るのであれば、社長が私を信じてくれて、私も社長を全面的に信じれるという関係が作れるのであれば、全力を注いで社長とともに戦いますよ。」
 天野は迷わず答えた。「わかりました。今日、今から山川さんと共に戦って行きたい。自分自身の不足する点は、遠慮なくご指摘ください。きっちりと利益を残せる会社へ変わっていきたい。」 (次号以降、天野の改革が始まる。)

文/朝日ビジネスコンサルティング・古川 武史
takefumi.furukawa@asahibc.co.jp

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