Asahi Business Consulting|朝日ビジネスコンサルティング

朝日ビジネスコンサルティング 福岡・九州を中心にサービスを提供するコンサルティング会社です

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第5話 「考える組織への道」

ケース4.~飲食店経営者の挑戦

 大きな改革を成し遂げたように見えた飲食店チェーン。社長の田宮が安心したのもつかの間だった。前号で記載したように、数カ月後にまた元の状態へと逆戻りした。
 田宮は今回の結果を見て、業績悪化の原因が社内風土が根本原因だとはっきりと認識した。
 そこで、初めてコンサルタントの山川へ連絡した。山川とは1年前にある会合で面識があり、彼が話した「改善の本質は、人材教育だ」という言葉を思い出したのである。
 田宮は山川へ話した。
 「当社は、顧客の変化を見逃してきた結果、非常に厳しい状況に陥った。そのことをようやく私自身が認識し、改革を行った。目の前にある顧客の変化は、社長の私なんかより現場にいる店長たちが詳しいし、顧客と接している従業員の方が肌で感じているんだということを嫌というほど感じた。社長室や経営企画室で机に座ったまま考えることなんて、本当に机上の空論なんだって思った。そこで、改善プランについては幹部を集めて、検討、実行させた。自分たちが作ったプランだという意識を持ってくれて、改善スピードも上がり実績も出た。この姿が、これからのわが社の姿だと本気で思えた。しかしなんです…。山川さん。けれども」
 と口にしたところで、コンサルタントの山川は社長の話を遮った。
 「話の途中で申し訳ないですね。社長。そこから先は、私の思っている通りであれば次のようなことではないですか?改善を行った結果、成果も得た。このまま順調に行くであろうことを予測した。そして数カ月が過ぎた今、うまくいっていると思っていた業績に変化が表れた。回復をしていた業績が悪化した。そうではないですか?」
 田宮は息をのんだ。わが社を調べたうえで言っているのではないかとさえ思った。
 田宮は山川へ投げかける。「どうしてそう思われたのですか?」
 山川は答えた。
 「イベントを思い描いてください。始めようと思って、準備をし、イベント当日を迎える。ここまで考えたことをみんなが同じ思いで実行する。当然、イベントは成功する。学生時代の文化祭みたいな感じに。1回きりの取り組みであれば、やらなければならないとの気持ちが強ければ、ほぼ成功するんです。しかしながら、それを継続するためには、気持ちだけでは無理。継続させるためには、別の視点から会社組織を見直さなければなりません。つまり、継続するための仕組み。そして仕組みを動かすための組織、人。これらを準備しなければ、1夜限りの花火大会となってしまうのです。田宮社長の話を聞いていて、現場責任者に任せたということは分かりました。しかし、主体はあくまで田宮社長自身であるように感じたのです。仕組みで解決をしたというよりも田宮社長の声かけで集まり、考えたのです。緊急避難的には必要ですが、継続できる仕組みを構築する作業が残っていると感じたのです」
 田宮は思った。これまでのわが社は、田宮自身の号令で動いてきた。今回の危機に対して、それでは変化に対応できないと感じて、現場のマネジャーを中心に現状分析から対策立案まで任せた。この取り組みは、一見うまくいった。しかし、一時的だったのだ。
 「顧客の変化を常に感じ取って、それをサービスや商品へ反映させる」という当たり前のことを当たり前のように出来る会社にする必要があると感じたにもかかわらず、それを実現する仕組みを考えていなかったのだと。
 田宮は山川に相談した。「この局面、ただ単純に乗り越えればいいという従来型のプラン作成、実行を行うだけでは駄目だと感じています。仕組み作りと組織、人づくりの両面からコンサルテーション出来ないでしょうか?」
 山川は答えた。
 「分かりました。お引き受け致しましょう。ここまでのお話からすると、エリアマネジャークラスのメンバーを集めて、フリーでディスカッションを行うことが有用ではないかと考えます。一度、危機的状況を認識し、対策を考え、実行した経験をお持ちのメンバーの方と話をしたいと思います。その中で、何が今、わが社に必要なのかについて認識を持ってもらいましょう」
 さっそく、エリアマネジャーを集め、ディスカッションが行われた。
 山川からは、3つの質問が投げかけられた。
 1つ目は、なぜ、以前と同じ状況に陥ったのか?
 2つ目は、では、どうやったら現状を回避できるのか?
 そして最後の3つ目は、その中で、エリアマネジャーはどのような役割を担わないといけないのか?
 エリアマネジャーが口々に多くの意見を述べた。それを山川は、否定することなく受け入れた後、さらに深い質問を浴びせ続ける。これが終日行われた。
 この会議で出された結論は、先に田宮と話をした内容そのものだった。仕組みの構築が必要であり、仕組みとしての会議体、そこで必要なデータ、会議のゴール等々が定められた。大きく違ったのは、エリアマネジャーの顔つきである。役割の再認識だけでなく、自分に課せられているミッションの大きさと、それを実行しようとするやる気。そして自信。
 会議での質問によって、全員が必死に考えた。ただ考えるだけではなく、考えに考え抜いた。もうこれ以上は倒れるというくらいに。それが自信へと変化したのである。
 こうして、着実に考える組織へと変化していった。
 危機的状況に置かれてではあったが、経営者田宮のたゆまぬ課題認識と解決策模索への苦闘が、これまでのやり方を変えるきっかけとなった。改善策を作り、それを実行し、成果を上げた取り組みがさらなる企業変化の原点となり、コンサルタントの援助を得て、真の企業変革が行われた。やり方だけでなく、仕組み作りだけでもなく、人・組織作り、特に中間層の強化は、多くの企業改革の中心となりつつある。
 田宮自らの変革により、これを実行したわが社は、ここがスタート地点。常に顧客の変化に敏感になり、サービスや商品を開発していく企業を目指し、まい進を続けることになるであろう。
 田宮は社長室で、こうつぶやいた。「何よりも代えがたい将来への基盤構築へ一歩、足を進められたかな…」

文/朝日ビジネスコンサルティング・古川 武史
takefumi.furukawa@asahibc.co.jp

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